日本発の最先端ナノ技術で世界の医療を変える! 患者・株主の期待に応えるために邁進

 ナノキャリアは、ミセル化ナノ粒子を利用した複数の抗がん剤を開発。現在(2020年9月)、そのうち3つがフェーズ2の臨床試験まで進んでいます。このうち、世界で広く使用されている抗がん剤「シスプラチン」を内包した「NC-6004」は近年、がん治療の中心的な薬剤となった免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」と併用することで相乗効果を発揮することが確認されています。新しいテクノロジーを融合し、治療薬のポテンシャルを最大限に引き出すことで、がん治療においてもさらなる選択肢を拡大できると期待されています。

ミセル化ナノ粒子を活用したコスメが大ヒット

 ミセル化ナノ粒子の技術は美容分野では既に実用化され、ヒット商品が生まれています。それが、2013年に発売されたナノキャリアと高級化粧品メーカーのアルビオンと共同開発した美容液「エクラフチュール」です。ミセル化ナノ粒子によって美容成分がすばやく、的確に肌に浸透するため、「肌にスピーディーになじむ」と好評。2013年の発売初年度は年間60万本の売上げを記録。その後、リニューアルされた「エクラフチュールd」は現在もアルビオンのロングセラー商品となっています。

「ミセル化ナノ粒子の技術は、プラットフォームテクノロジーなのです。粒子の中にはさまざまな物質を入れることができますし、粒子の大きさやターゲット細胞を制御することも可能です。例えば、薬の副作用が課題となっている場合、私たちの技術によって、新製剤を生み出すことができるかもしれません。この技術を広く知ってもらい、多くのビジネスとコラボしていきたいです」

ナノキャリアは既に次世代ミセル化ナノ粒子の開発にも着手。ミセルにセンサー(外核から突き出しているY字型のもの)を付けることで、狙った細胞に薬物を送り込む能力が向上する