優れた技術を社会に実装し、全人類的課題の解決を目指す

「この会社は日本が得意とする産業用ロボットを動かすコントローラーを作っています。ロボットがセンサーから得た情報をもとに、どういう動きをすれば一番良いかを考えます。例えば、部品を選んだり、荷物を仕分けしたり、そういうことが自動でできます。アスクルさんの配送センターや、ファーストリテイリングさんの工場にも採用されています」

 この技術を導入すれば、人がそばに付いていなくても、ロボットが自分で最適な作業を行うことが可能になります。日本のように少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少が課題となっている国では、労働力不足の問題を解消する手段となります。また、より広い視点で見ると、非人間的な単純労働から労働者を解放し、人間らしい働き方を実現する助けとなります。今、世界中に広がっているコロナウイルスへの感染も、工場をできるだけ無人化すればリスクを減らすことができます。

MUJINは、AI技術をもとにした知能ロボットコントローラーを開発している会社です。https://www.mujin.co.jp/

 UTEC内で今後、どういう技術に注目すべきかを議論している中で、やはりコロナウイルス関係の技術がテーマになっていると、郷治さんは打ち明けてくれました。一つは語られることの多い「ニューノーマル」を実現するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)の技術。もう一つは、逆に、以前の普通の暮らしに戻すための技術だそうです。

 今、世界中の製薬会社がワクチンの開発にしのぎを削っています。開発されたワクチンを効率的に量産する技術や、新しいタイプの感染症が発生したときに、ウイルスの遺伝子の変異にリアルタイムで追い付き、すぐに対応できるような技術があれば、普通の生活を取り戻すのに役に立つ、と郷治さんは説明してくれます。

 最後に郷治さんは柏の葉の可能性について、次のように語ってくれました。

「柏の葉は東京に近いけれども、物理的に余裕があります。都心ではできないけれど、柏の葉だったらできることがあります。例えば、ラボが必要なベンチャーなどには向いています。シンガポールにSWAT Mobilityというスタートアップがあります。最少の車両台数で乗客を効率よく相乗りさせることができる、オンデマンドモビリティサービスを展開しています。三井不動産と提携して、スマートシティ構想の中で実際にモビリティを提供する予定があると聞いていますが、そういった実証実験を行う場としても向いています。三井不動産との取り組みを起点に、さまざまな大企業と連携していければと思います」

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