データの利活用が導く都市と暮らしの変容
深く広いデータ利活用が描き出す都市の未来像

コモングラウンドの実装について、エンタメ領域が先行しそうだと話す豊田さん。「例えばゲームの世界では身体のあるところと人が集まる場所が違うというのはデフォルトになっています。そういった場所に参加することで、離散的、流動的な生活や感覚に慣れる。すると、そういった空間や環境を実現するにはコモングラウンドは欠かせないだろうと自然に思い至るはずです」

柴崎さん「コモングラウンドによって環境に関する情報が汎用化されると、安心・安全な街づくりにも役立ちますね。例えば、交通事故が起きそうな交差点に関して、みんなが共通の3Dデータを活用すれば、自分のクルマや対向車、街角の監視カメラなどからの複合的な情報を瞬時に処理して、飛び出し事故などのリスクに備えられるかもしれません。コモングラウンドを通じて情報を共有することで、街がよりよくなるとわかれば、住民のみなさんも積極的にデータ利活用を検討したいと思い始めるのではないでしょうか」

 個人が所有するビッグデータの専門家である柴崎さんにとっても、コモングラウンドが実装された未来は魅力的。2人はコモングラウンドやデータ利活用によって見えてくる未来の生活や空間について、さまざまな可能性を描き出して見せました。

データ利活用によって広がる未来の可能性について多岐にわたる議論が交わされた

データ駆動型の街づくりから見える柏の葉の未来

 第2部には三井不動産株式会社 柏の葉推進部の吉崎典孝さんも参加。柏の葉スマートシティにおけるデータの利活用の仕組み、そしてそれが街をどのように変容させるかについて議論が交わされました。

吉崎さんは2020年11月にサービスを開始する「柏の葉データプラットフォーム」の技術的な側面について解説した

吉崎さん「私たちは今後、データ利活用のインフラストラクチャーとして『データプラットフォーム』を提供したいと考えています。不動産会社なのに何故と思われるかもしれませんが、実は不動産業とデータプラットフォーム事業には親和性があるんです。例えば、商業施設やオフィスは具体的な場所ではありますが、データプラットフォームもサイバー空間上の場所。私たちはリアルな街でもサイバー空間でもそうした場を提供することで、新産業創造や街の活性化に役立てていきたいと考えています」

赤い枠で囲まれた部分が、民間型と公共型のプラットフォーム。民間型プラットフォームは、情報の適切な管理・運用に欠かせないセキュリティ機能、認証機能などを備えている

 この取り組みについて、柴崎さんと豊田さんはデータ利活用のエキスパートとして期待を寄せています。