技術立国のものづくり企業たれ!柏の葉の産学に伝えたい卒業企業の矜持

柏の葉から世界のマーケットを目指す。そんな技術者たちを待っている

 アビーのCASは早くから海外からの注目を集めました。BBCテレビが密着取材し、米国のフォーブス誌が画期的な研究として取り上げ、それにより国内のメディアからの取材も増えたそうです。そして今、CASへの期待は国内外から大和田さんのもとへ寄せられます。コロナ禍での飲食店が抱える課題、気候変動による野菜の高騰、海流の変化が関係しているとの指摘もある漁業不振、そして近未来に100億の人口を抱える人類。大和田さんは、全てに共通する「食糧」の課題にCASを役立てるべく、これからも研究の視野を広げていくそうです。

「CASは長らく『冷凍庫』の技術だと思われてきました。しかし、冷凍庫そのものは100年前に生まれた技術。進化したのは温度の低さだけです。今では世界中で作ることができる製品です。冷凍庫が幾らあっても食糧問題は解決しません。一方で世界中からCASに注目が集まるのは、『食糧備蓄』という新たなソリューションを可能にする技術であることを人々が理解し始めたからです。日本は観光立国を目指すと言われていましたが、それは私には関係のないこと。私にとって、アビーは技術立国としての日本に必要な企業だという自負があります」

 大和田さんは、その矜持を柏の葉に集まる経営者、企業、何よりも技術者の人々に共有してもらいたいと願っています。

「私もアビーもまだ模索し、奮闘する渦中にいます。それは世界というマーケットを視野に入れているからです。観光立国では出て行けない。技術立国の技術者集団として、一緒に出て行きませんか。一緒に勉強しましょう。でも、僕は負けず嫌いな性分もあるから。そこは覚悟しておいてほしいな」

CASの技術を使い、骨抜き等の下ごしらえした魚を全国の飲食店に供給する事業には、障がい者雇用施設の方々が従事している。付加価値の高い食材を作る根気のいる作業だが、飲食店とスタッフの双方に高く評価されています

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