カイコ創薬で新薬発見に成功!これまでにない薬や食品の開発を目指して

株式会社ゲノム創薬研究所

「カイコによる動物実験をベースに、医学・薬学研究を行う」というのが、株式会社ゲノム創薬研究所のコアテクノロジーです。同社技術顧問の関水和久 東京大学名誉教授は、カイコに実験動物としての優れた特性を見出し、実用化のための技術を開発。「感染モデル」や「糖尿病モデル」などの疾患モデルカイコを開発し、特許を取得しました。ゲノム創薬研究所は、カイコによるスクリーニングや毒性評価を行い、抗生物質「ライソシンE」やヨーグルトの開発に成功。現在は、カイコを利用した各種の研究を受託するとともに、未来の医薬品や新薬や免疫賦活成分(免疫を活性化する成分)となる物質の探索にも積極的に取り組んでいます。

カイコとヒトとの意外な共通点

 薬学博士の関水和久さんは東京大学在籍中、主に天然物から新薬のベースとなる物質を探索する研究をしていました。土壌などから細菌や真菌を採取し、菌が作り出す物質の中から病原菌に対して有効性をもつものを探し出すという地道な研究です。菌が作り出す物質の効果はまず、試験管内で確認します。その次のステップが動物実験です。

帝京大学医真菌研究センター センター長、東京大学名誉教授、薬学博士 関水和久さん

 動物実験では一般に、マウスなどの哺乳動物が使われますが、関水さんは哺乳類に代わり、カイコを利用することを発案しました。カイコは哺乳動物に比べてコストが格段に低く、養蚕用に養殖されているため、入手が容易だからです。関水さんが試しに、黄色ブドウ球菌やコレラ菌をカイコに注射してみたところ、カイコは死にました。さらに、病原菌に感染したカイコにヒトと同じ抗生物質を与えると延命することも確認しました。つまり、ヒトにとって薬や毒になるものは、カイコでも同じ働きを示すことを発見したのです。

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