理念は『藻類の研究開発で、地球の未来に貢献する』、藻類を基幹産業にしたい!

柏の葉という場所のメリット

 アルガルバイオは柏の葉の東大柏ベンチャープラザと、東葛テクノプラザの両方に拠点を置いて、事業を展開しています。起業の地として柏の葉という場所を選んだ理由について、竹下社長は次のように説明します。

「もともと私自身が東大柏キャンパス出身ということもありますが、弊社の事業の性格上、生産技術を磨くために培養技術センターと呼ぶ温室が必要です。東京都内では、土地の確保が難しいということが、まず挙げられます」 

 さらに、東葛テクノプラザは千葉県、東大柏ベンチャープラザは中小機構と運営母体が異なっていて、それぞれのマネージャーからいろいろな情報を得たり、ネットワークを活用できることもメリットだと言います。例えば、資金調達の際に地銀の担当者とやり取りをする際には、地元自治体が運営母体である東葛テクノプラザのネットワークが役に立ったと言います。また、同社のようなバイオ系のベンチャー企業にとっては、耐薬品性の床などが整備されているウエットラボがある東大柏ベンチャープラザは、使い勝手が良いそうです。

温室内の閉鎖空間で藻類を培養する培養技術センターを運営しています

気付いたら藻類をとっている状態にしたい

 アルガルバイオは、『藻類の研究開発で、地球の未来に貢献する』という理念を掲げています。そのためは、もっと幅広く、いろいろなところで藻類が活用されることが必要です。知らないうちにいろいろなところで藻類が使われている状態を作ることが重要だと、竹下社長は考えています。

「例えば、ワカメを食べたいと思ってワカメを食べる人は少ないと思いますが、みそ汁を飲むとワカメを食べていることが多いですよね。そういうことがポイントだと思います。意識的に選ばなくても藻類からできた製品を使っていたり、食べていたり、飲んでいたりする社会を実現する。化粧品も、バイオプラスチックも、燃料も、藻類から作れます。つまり、藻類を社会のインフラにしていくというのが、私たちが挑戦するテーマです」

藻類を社会インフラにするために、事業開発を強化し、資源を集中していくという経営戦略をとりたいと、竹下社長は考えています

『藻類を社会インフラに』というテーマを実現するために、「事業開発を強化してから、資源を集中していくという経営戦略をとりたい」と竹下社長は考えています。

「研究は人が必要としているからやるものではなくて、関心があるから、興味があるからという動機から取り組むものです。私はどちらかというと、誰かのために仕事をすることが好きです。藻類だからすごいね、ではなくて、きちんと社会に必要とされているものは何かを考え、事業を開発し、藻類を扱う会社は基幹産業ですね、と言っていただけるような社会を作っていきたいのです」

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