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そこで、久野さんは、「スマートウエルネスシティ首長研究会(以下首長研究会と表記)」を立ち上げました。最初9人の首長でスタートしたこの研究会は、現在では106人の首長が参加するまでに成長し、いろいろな社会実験を行うプラットフォームにもなっています。例えば、あるプロジェクトでは、全国の自治体が飛び地型自治体連携を組み、1つの自治体では規模が小さくてできないことを、スケールメリットを活かして産官学で取り組んでいます。
さらに、この首長研究会は、自治体職員の人材育成にもつながるという副産物をもたらしたと、久野さんは説明してくれます。
「複数の自治体が定期的に集まって、他の自治体の良い施策があれば学び、切磋琢磨し、情報を交換し、困ったことがあればすぐに連絡し合うような関係性を築いていく中で、明らかに職員の方々が変わりだしました」
久野さんは、自治体職員の人材育成が重要であることを、首長研究会の発起人一人であり、現在も会長を務める新潟県見附市の久住時男市長からも学んだと言います。
「あるとき、見附市の久住市長から、『いつまでも私が市長をやっているか分からないし、職員が付いてこないと本当の成果は出せない。サステナブルにもならない。これからもっと職員をその気にさせなければいけないし、レベルを上げなければいけない』と、教えていただきました」
その言葉を受けて久野さんは、「久野塾」を立ち上げ、半年間ワンクールで4年間見附市に通い、職員の研修を行いました。久野塾はただ教えるだけではなく、研修の後のナイトサイエンスで職員の本音を聞き、彼らが何に困っていて、どこでつまずきやすいかを理解する場となりました。この経験を通じて、コンサルティングを行う上での貴重なノウハウを得られたと、久野さんは振り返ります。
AIを使って自治体のデータヘルスの課題解決をサポート
TWRが今まで蓄積したデータや知見を元に開発し、今年3月から運用を開始したシステムが、「健幸政策SWC-AI®︎(以下SWC-AIと表記)」です。久野さんは次のように説明してくれます。
「SWC-AIは、レセプトデータや健診データから地域の健康課題の『見える化』ができるシステムです。課題を『見える化』しただけで、その原因が分からないと課題を解決できませんが、SWC-AIを使えば、原因を特定できます。もう一つの大きな特長は、課題を解決するためにどういう施策を打てば良いか、その候補を出してくれることです」
DATA
- 株式会社つくばウエルネスリサーチ
設立 2002年7月1日
所在地 〒277-8519 千葉県柏市若柴178番地4
柏の葉キャンパス148街区2 KOIL505
電話 04-7197-2360
URL http://www.twr.jp/