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スマートシティには改善の余地がある。だからこそスマートシティであって、より賢い市民がそこで生まれる
そして、事前に本人登録を行い、薬局のほかコンビニなどの販売店に行って受け取る仕組みができました。このシステムのおかげでマスクを買うために列に並ぶ必要もなく、買い占めも起こらなかったのです。
集団知がさまざまな問題を解決する
Eマスクの成功には、ITを使って社会課題を解決することを目指す「シビックテック」のコミュニティー組織、「g0v 零時政府」(ガブゼロ)が大きく寄与しました。「中央政府総予算」の可視化プロジェクトをきっかけに2012年に立ち上がったガブゼロは、「ひまわり学生運動」でも大きな役割を果たしました。オープンソースコミュニティーの精神を背景に、フラットで透明性の高い活動を行い、政府の政策決定にも影響を与えています。
ガブゼロの活動にも深く関わってきたタンさんは、大臣となった今でも徹底的にオープンで透明性の高い手法を採ることにこだわっています。
「徹底的にオープンにする。作るところを見せる。プライバシーを守っているところも見せるということが信頼につながり、成功につながります」
意見や考え方が異なる人同士がディスカッションをするときには、実は違うところよりも共通のところの方が多い、ということを理解する必要があるとタンさんは指摘します。
「台湾の中にもこれまで考えていた以上にいろいろな民族、いろいろなタイプの人たちがいます。民主主義の中で、これまでは声が届かなかった人たちがいます。そういう人たちの考え方をきちんと反映させ、共通の価値があるということを、見つけ出すことが重要です。いろいろな立場の人の声を全部聞いて、コレクティブインテリジェンス(集団知)として、抽出するということです」