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Part1では、近藤克則さん、矢野和男さんの2人の研究者がトークを展開。膨大なデータの分析から導き出した「幸福度」を指標にしたコミュニティづくりの未来像が描き出されました。Part2では、柏の葉の街で、実際に健康に暮らせるコミュニティづくりに寄与する、ヘルスケアの向上を実証実験で探っている企業や研究機関の事例を紹介しつつ、「幸福」と「EMPOWER COMMUNITY.」について、さらに視野を広げるクロストークが行われました。
キリンホールディングス株式会社は、酒類・食品・医薬品を中心に扱ってきましたが、近年ではヘルスケアの領域にも力を入れています。特に着目しているのが、認知機能やメンタルヘルスに有効な食品成分の探索と開発。東京大学との共同研究では、ビール苦味成分であるホップ苦味酸のアルツハイマー病予防効果を世界で初めて解明しました。さらに、独自素材の「熟成ホップエキス」を開発し、その中の成分である「熟成ホップ由来苦味酸」が認知機能改善および抑うつ改善効果を示すことも解明しています。研究員の福田隆文さんは、この「熟成ホップエキス」を用いた製品を使い、今年、柏の葉で行った実証実験について紹介しました。
福田さん「研究によって発見、解明してきた素材の効果が、実際に生活の中で食品として飲んでいただいたときに、その効果が期待通り、得られるかどうか。それを確かめるための実証実験です。弊社のノンアルコールビールを3週間摂取した後、質問紙にお答えいただき、メンタルヘルスに関する指標を評価するものです」
通常、こうした取り組みは被験者の人数がなかなか集まらずに苦労するそうです。今回、柏の葉の街をフィールドに、在住・通勤者を対象に呼び掛けると約1カ月で100名の協力者が集まりました。
福田さん「今回は、地域としての効果を検証したかったので年代を特定しない20歳以上の方を対象にしました。若い世代から高齢者まで、とても幅広い方々に手を挙げていただけたことが印象的です。スタート段階で大きな手応えを感じました」