ゲノム医療を地域医療として実践したい。その想いは柏の葉だから実現できた

「次世代シーケンサー(遺伝子解析機器)が登場し、遺伝子解析に必要な時間とコストが劇的に下がりました。自分の遺伝子を読むことが可能になり、がんへの予防としてのゲノム医療が実現したのです。予測ができれば備えが可能になり、人よりも小まめながん検診をすることで早期発見や負荷の少ない治療が可能になります。今後、ゲノム研究が進み、さらに病気と遺伝子との関係が明らかとなりデータベース化が進めば、多くの疾患に予防的医療で備えることが可能になるでしょう」と曽根原さんは話します。

遺伝子解析を地域医療に役立てたい。
その想いがまちづくりと共鳴した

柏の葉キャンパス駅前にある「31VENTURES KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」。東京大学サテライトやららぽーとに隣接。学問研究と街の暮らしに直結した立地です

 曽根原さんが、ゲノムに感心を持ったのは高校生のとき。2003年、国際プロジェクトによるヒトゲノム解読のニュースに強く感銘を受けたそうです。東京大学に進学し、分子生物学を専攻。大学院に進むとゲノム医療に可能性を見いだし千葉大学医学部へ編入しました。

「ずっと柏の葉の街でゲノムと向き合ってきました。まだららぽーともなく、駅と大学の間には野原が広がっていた頃からです。やがて人が増え、子どもたちが生まれ育ち、街に活気が満ちてくるのを肌で感じながらゲノム研究の可能性を考え続けていたので、ゲノム医療をこの街の地域医療として役立てたいと思ったのは自然な流れでした」と曽根原さんは言います。

 三井不動産が共催する「AEA」は、アジアにおけるイノベーションのエコシステムを構築するため、柏の葉に若い起業家を呼び集めることを目的に2012年から毎年開催されています。曽根原さんは2017年のAEAにエントリーし、ゲノム医療による予防と健康実現のプランを発表し、「柏の葉賞」を受賞しました。柏の葉のまちづくりのコンセプトである「環境共生」「新産業創造」「健康長寿」に「ゲノムの研究・技術による将来の疾病予防」が一致すると評価されたのです。