技術立国のものづくり企業たれ!柏の葉の産学に伝えたい卒業企業の矜持

株式会社アビー

株式会社アビーが全国の大学研究所と行っている共同研究を説明する大和田哲男さん

東葛テクノプラザがオープンしたときの第1期入居企業だった株式会社アビーは、独自開発の「CAS」で日本の食を大きく変えました。大和田哲男社長は「柏の葉で自社も自身も大きく成長できた」と振り返ります。現在、アビーは産学協働を広げ、医療分野でもCASの技術を用いた共同研究の成果を出し続けています。その視線は、世界のマーケットに向けられ、新たな技術とのコラボレーションによるさまざまな社会課題解決に向けた歩みを始めようとしています。「技術立国の企業でありたい」。その矜持を柏の葉に届けたいと、卒業企業からのメッセージを頂きました。

流山おおたかの森駅近くの本社。壁には「細胞組織を生かす最先端技術 CAS」と掲げられています

柏の葉での一歩が、会社も自分も成長させた

「あのとき、東葛テクノプラザに入らなかったなら、今のアビーはないでしょう。当初は躊躇しましたが、そこから全てが変わりました。これから起業する人、ベンチャー企業にはインキュベーション施設の利用を勧めたいし、柏の葉に集まる技術者たちとの協業の可能性も探りたい。『大和田と話がしたい』というなら大歓迎です」と大和田さんは語ります。

 1989年、大和田哲男さんは、オープンした東葛テクノプラザに1期生企業として入居を勧められたとき、いったんは諦めかけたそうです。家業の製菓製パン製造機器メーカーから独立して約10年、当時は、我孫子の工場の一角に研究スペースを設け、独自開発したCAS(セル・アライブ・システム)のさらなる研究に取り組んでいた矢先でした。本来、食品の細胞組織を壊さずに保ち、長期の冷凍保存を可能にする技術として誕生したCASの、医療分野への応用の道を探るため、大学との共同研究がスタート。使い勝手のいい自社研究所を持ちたいと考えていたこともあり、当初は前向きな検討を進めたそうです。

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