「100年続く太陽光発電」を目標に、 設備の維持・管理に革新をもたらす

 固定価格買取制度は、使用した電気量に一定の金額をかけて計算される、利用者、つまり国民が負担する「再生可能エネルギー発電促進賦課金」によって支えられています。この制度が導入され、しばらく運用されると、「再エネ賦課金の負担が大きくなった」「導入が太陽光発電に偏った」「認定を受けているが稼働していない設備が増えた」などの問題が浮上しました。

 これらの問題を解消すべくFIT法は2017年4月に改正され、新しい固定価格買取制度が始まりました。改正FIT法では、第三者が発電所に立ち入ることを防ぐフェンスの設置、保守点検・維持管理、20キロワット以上の出力の設備を設置する際の標識表示、などが義務付けられました。

 ヒラソル・エナジーは、太陽光発電設備の保守点検・維持管理の人手や手間、コストを大幅に削減できる画期的な新技術を開発している企業です。

 代表取締役の李 旻(リ ミン)さんは、「例えば、水力発電は定期的にメンテナンスを行い、必要なタイミングで部品を交換し、100年使い続けるということが実現されています。太陽光発電の設備も、水力発電のように適切なメンテナンスを行うことで、ずっと使い続けられるものにしたい。固定価格買取制度の助成が終わったら、消滅してしまうようなことにならないようにしたいのです」と、会社を立ち上げた動機を語ってくれました。

パネル1枚ごとの状態を離れたところから把握できる

「太陽光発電の場合には、パネルとか、パワーコンディショナーとか、いろいろなところで故障が起きます。その故障をIoTとAIの技術を使っていかに発見するか、というのが私たちのミッションです。太陽光発電設備の劣化は毎年0.5%くらいと言われていますが、これはあくまで平均をとった数字で、ばらつきがあります。年間マイナス2%くらいの劣化になっている発電場は、私たちの感触では全体の10%〜20%はあると思います」と李さんは日本の太陽光発電設備劣化の現状を、こう分析しています。