「100年続く太陽光発電」を目標に、 設備の維持・管理に革新をもたらす

「太陽光発電においては、従来は設備の安全性や健全性が重視されてきました。一方で、今後の電源のニーズを考えると、性能の部分をどう見ていくかがとても重要です。私たちは、性能評価のところからスタートして、必要な発電場についてはわれわれのパネル監視技術を導入し、最適管理の提案をしていきたいと考えています」と李さんは語ります。

李 旻さんと、ヒラソル・エナジーでビジネス・オペレーション・リードを務める畔上兼一さん(写真手前)。東京大学本郷キャンパス内のオフィスの屋上には、試験用の太陽光パネルが設置され、データの収集と解析を行っています

 既に、劣化している発電場の再生事業や、太陽光発電の性能診断も行っています。「太陽光電源の性能は、日射や環境といった要素のほか、そもそも作り方にも大きく作用されます」と、李さんは指摘します。そのため、同社の監視装置を導入する前に性能診断を行い、本来あるべき姿と現状とのギャップを可視化することにも力を入れています。

 昨年10月には、商業施設の「柏の葉ゲートスクエア」と「ららぽーと柏の葉」の太陽光発電設備の保守管理に、PPLC™️-PVを導入し、今年の1月から試験運用を開始することが発表されました。コロナウイルスの影響でセンサーの供給が滞り、スケジュールが遅れていますが、来年の1月をめどに再開する予定です。

 この目的の1つは屋上の発電設備の健全性を診断することだと、李さんは語ります。「柏の葉の太陽光発電設備がどこまで元気なのか、過去の発電データから分析する価値があるという証拠が見えてきています。PPLC™️-PVを導入することで、実際の発電能力の強化と、必要に応じた再生の提案を併せて行うことも考えています」

 李さんは、太陽光発電装置を再生することは、「FIT価格で導入されている電源の再開発を行うことになる」と言います。既存の太陽光発電設備の発電能力を同社のサービスを導入して強化できれば、新規に土地を手当てしたり、設備を導入することなく、新規電力を上乗せすることができるからです。

「弊社の機器を導入し、必要に応じてパネルを交換するだけで、新規の電源開発と同じような効果が得られます」

 地方自治体も含め、「事業運営を100%再生可能エネルギーで調達すること」を目標に掲げる「RE100」にコミットしている事業者や団体にとっては、今まで導入した太陽光発電設備の健全性を維持することは重要です。そういう意味でも、「地域ごとに拠点を設け、周辺の太陽光電源が元気かどうかを診断し、修理と維持をどうすればよいかのモデルケースを作って、徐々に広げて行きたい」と李さんは考えています。

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