「100年続く太陽光発電」を目標に、 設備の維持・管理に革新をもたらす

 ヒラソル・エナジーが開発したのは、東京大学の落合秀也准教授が発明したパルス型電力線通信技術(PPLC™️)を応用した、太陽光発電所向けのIoTプラットフォーム「PPLC™️-PV」です。

 従来の太陽光発電の保守・点検の技術では、パネルを直列に接続した「ストリング」単位でしか異常を検知することができませんでした。そのため、どのパネルが故障して発電量が下がっているかを特定するためには、現地に人が赴いて当該パネルを特定する必要がありました。

 ヒラソル・エナジーが開発したPPLC™️-PVでは、パネル1枚1枚にセンサーを外付けし、パネルの発電時の電圧と電流を測り、そのデータを送電用の電線を使って送り出します。そして、電流を直流から交流に変換するパワーコンディショナーの手前に通信機を置いて、データをクラウドに送ります。こうすることで、パネル1枚ごとの状態を常に遠隔地からモニターすることができ、故障した場合には交換できるようになります。李さんによると、パネル1000枚分のデータを同時に受信でき、従来型の無線技術を使う場合や、追加で通信線を敷く場合と比べて構造がシンプルで、設置が容易だという利点があるそうです。

「特に野立ての場合には、従来型の無線技術では太陽光パネルを設置する斜面の向きがとても重要で、少しでも角が立つと中継がしづらくなるという欠点がありました。私たちの技術では、そもそも送電線上に信号を送り出しているので、そういう心配は一切必要ありません」

ヒラソル・エナジーが開発した、太陽光発電所向けのIoTプラットフォーム「PPLC™️-PV」。パネル1枚1枚にセンサーを設置し、クラウドに発電時の電圧と電流のデータを送ることで、遠隔地からパネルの状態を知ることができます

電源の再開発を行うことになる

 ヒラソル・エナジーは、通信技術を太陽光分野に活用していく中で、独自のデータを大量に集めることができる会社になりました。稼働中のパネルの様子を1枚ごとに把握できるようになり、そのデータを解析する知見を蓄積し、独自のAIエンジンも開発しています。