優れた技術を社会に実装し、全人類的課題の解決を目指す

事業成功に向け、創業者を探すことも

 UTECが投資した案件の中で最も成功している企業が、バイオ医薬品企業のペプチドリーム株式会社で、時価総額は5000億円を超えています。

 アミノ酸が50個未満結合したものをペプチドと言います。ペプチドを使って薬を作ろうという試みには半世紀以上の歴史があり、過去に多くの製薬企業が試みましたが、うまくいきませんでした。そこにブレークスルーをもたらしたのが、東京大学の菅裕明教授です。

 ペプチドリームは、菅教授が開発した特殊ペプチド合成技術をもとに、2006 年に設立されました。同社独自の創薬開発プラットフォームシステムPDPS(Peptide Discovery Platform System)は、次世代の創薬の基盤として高く評価され、世界中の製薬会社がペプチドリームとパートナーシップを結んでいます。

 実は、ペプチドリームはUTECが菅教授に創業者候補を紹介して、起業に至った会社です。郷治さんは、「社長となる共同創業者候補の方を何名も菅教授にご紹介しました。4人目の方が、創業時の社長で現在は取締役会長を務める窪田規一さんでした」と、振り返ります。

ペプチドリームは創薬のプラットフォームとなるその独創的な技術が高く評価され、世界中の製薬メーカーとパートナーシップを結んでいます。図はペプチドリームのホームページより転載。https://www.peptidream.com/

 株式会社自律制御システム研究所(以下ACSLと記載)というドローンを開発しているベンチャーも、UTECが経営陣を紹介して軌道に乗った企業です。2018年12月に東証マザーズ市場に上場を果たしており、現在の時価総額は約300億円です。