洗練されたタンパク質合成技術で創薬をサポート リード開発のプラットフォームを目指す

「私たちは従業員13人のベンチャーですが、小さいながらもこのニッチな分野のトップを目指したいと考えています。また、バイオテクノロジー領域では、タンパク質合成から一歩進み、細胞そのものを人工的に創出することを目指す合成生物学という分野が急成長しています。私たちとしてもこの分野にはぜひチャレンジしてみたいですね」と海老原さんは夢を語ってくれました。

ジーンフロンティアは「PUREfrex®RD」を利用しての創薬や、バイオテクノロジーの最先端の領域にも積極的に参入する方針

柏エリアで生まれた縁に支えられて

 ジーンフロンティアは2003年に、3社が集まったジョイントベンチャーとして東京・日本橋で創業。当初は遺伝子解析などを行うサービスプロバイダとして活動していました。その後、2008年にバイオ医薬に特化した研究開発型のベンチャーにシフトし、東大柏ベンチャープラザに移転。

「日本橋ではバイオ系の実験はできません。研究に適した場所を探しているときに東大柏ベンチャープラザを知りました。あの施設は電気容量や床の耐荷重量など実際的な部分も含め、研究に最適でした。また、共同研究させていただいている上田教授が隣の東大柏キャンパスに在籍していたことも、私たちにとって大きなプラスでした」と海老原さん。

 2009年、当時の親会社の撤退を機に、海老原さんが代表取締役となって事業を継承。そこから半年足らずで株式会社カネカとの資本提携が成立し、100%カネカ資本のグループ会社となりました。

「カネカには医療やヘルスケアを扱う事業があり、長年にわたるバイオテクノロジー研究の実績もあります。2010年当時からバイオ医薬事業領域をさらに拡大する計画があったということで、私たちとの資本提携が成立しました。この契約により、私たちは自社の研究開発や事業に安心してリソースを注入できるようになりました」と海老原さんは言います。

 2019年6月には10年以上を過ごした東大柏ベンチャープラザを卒業。同プラザを運営する中小機構の仲介により、柏市内にあるシャープ株式会社柏事業所内の研究室に移転しました。

ジーンフロンティアが入居するシャープ柏ビル

「研究スペースが以前の1.5倍に広がり、研究員も仕事がしやすいと喜んでいます。今後は、自社でも『PUREfrex®RD』を使ったドラッグディスカバリーに取り組みたいです。また、『PUREfrex®RD』に続く、新たなバイオ医薬開発技術も手掛けていますので、近い将来、発表できればと考えています」と海老原さんは話してくれました。

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