カイコ創薬で新薬発見に成功!これまでにない薬や食品の開発を目指して

カイコを使った新型コロナウイルス対策が話題に

 2000年に創業したゲノム創薬研究所は、2014年に東京大学の構内にあるアントレプレナープラザから東大柏ベンチャープラザにウェットラボを移転しました。

「カイコにはバイオハザードのリスクはないのですが、研究のために病原性物質を扱うのでバイオセーフティP2レベルのラボが必要なのです。東大柏ベンチャープラザは設備が充実していますし、P2レベルの研究ができるのが大きな利点です。東大柏ベンチャープラザには、東大柏キャンパスが隣接しているため、共同研究をする上でも便利でした」

東大柏ベンチャープラザのウェットラボでは、カイコによるスクリーニングを経たシーズについての前臨床試験などが行われている

 ゲノム創薬研究所は現在、東大柏ベンチャープラザと、関水さんが在籍する帝京大学医真菌研究センターの2つを拠点に研究開発を行っています。新型コロナウイルス感染症の影響で、いくつかの共同研究が中断されていますが、一方で新たな展開がありました。

「関水名誉教授は新型コロナウイルス感染症の重症化のきっかけとなるサイトカインストーム(免疫暴走)対策を研究するため、『サイトカインストームモデルカイコ』の作製に取り組んでいます。これが成功すれば、新型コロナウイルス感染症対策に何らかの貢献ができるかもしれません」

1 2 3 4

前へ