医療現場のニーズと工学のシーズをマッチングさせ、新しい医療デバイスを自ら生み出す

「医療の現場のプレイヤーと企業とが日常的に気軽に話せる環境です。定例の会議も月に1回行われますが、NEXTの外との産学連携も盛んです。同じ柏の葉の千葉大学や東京大学とは、さまざまな共同研究も行ってきました。また、千葉県がホストになり、NEXTと千葉大学が医療現場のニーズを課題として話し合い、それに企業が自らの持つ工学的シーズを提案する『シーズマッチング』の会議なども行われています。シーズマッチングは、東病院にも窓口があり、さまざまな産学連携が実現し、現在は約60の共同研究が進行中です」(伊藤さん)

 今、NEXTの取り組みは日本における医工連携のホットスポットとして広く認知されています。そして医療の現場のニーズとのシーズマッチングは、「ゴールの見える課題」「必ずゴールする取り組み」が魅力となって、多くの企業が研究開発へ加わっています。

内視鏡手術の画像をAIで解析し、臨床現場の医師の暗黙知を利用した医療機器の開発研究も行われています

街づくりに「イノベーション」が組み込まれた柏の葉だからできること

「柏の葉では、ノーベル賞を受賞した研究者やイノベーションに意欲的な企業の経営者が普通に歩いています。とても刺激的な街です」(伊藤さん)

「延べ四半世紀近く柏の葉で勤務してきました」と言う伊藤さんに街の魅力を伺いました。

「柏の葉は、研究者にとって好条件のそろった街だと思います。研究機関と大学、ベンチャーを含む意欲的な企業との交流がしやすい。東京や筑波ともさほど遠くない距離に位置しています。また、街づくり全体を担っている三井不動産が、『イノベーション』を産学の研究と住民の暮らしを結び付ける未来の設計図として提案している点がとても魅力的です。私たちの研究は、学問領域にとどまらず、患者さんや医療従事者に役立つというゴールを目指すもの。その熱意を維持する上でも刺激的でチャンスに満ちた街だと思います」

 全国有数の腹腔鏡手術の症例数、手術支援ロボットの開発。NEXTでは、次世代を見据えた最新のがん治療が行われています。それは「今ここでできる最善のがん治療」を超えて、「未来に世界で行い得るベストのがん治療」をつくる研究開発だと伊藤さんは強調します。「がんを根治する」。そのゴールに向けた新たな研究がスタートする場所なのです。

国立がん研究センター東病院。年間8000人を超える新患が治療を受ける国内トップクラスのがん専門病院

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