選択肢を増やすことでストレスを軽減、
モビリティエコシステムで暮らしを豊かに

全ての分野が連携できる可能性がある

森さん(司会)「では、続いてのテーマに移りたいと思います。MaaSが連携すべき、サービスや分野は何か。MaaSが単独ではなくて、さまざまな可能性を持っていろいろな業種、いろいろな業界と連携することが期待されていると思います。末廣さん、いかがでしょう」

末廣さん「私はこの質問を見た時に、全てだと思いました。例えば、消費があるようなスーパーなどはもちろん連携すべきですし、病院、学校、鉄道もそうです。人々が生きている上で関連するような産業は、全てMaaSがつながればいいと思います」

森さん(司会)「杉原さんは他業種との連携について、どうお考えですか?」

杉原さん「都市圏は交通インフラが整っていますが、観光地や、スポーツの会場というのは、すごい所にあったりするんですよ。観光やエンタメは楽しみに行っているのに、行き帰りの移動で逆に疲れた、ということが結構あります。移動を効率だけで考えるのではなく、楽しさを拡張するという意味では、観光地やスポーツ施設と連携すべきだと思います」

森さん(司会)「エンタメというお話がありましたが、末廣さんはいかがですか」

末廣さん「われわれも狙っていきたい分野です。エンタメの一つとして送迎サービスを手掛け、それに乗ることでスポーツ選手から特別のコメントが得られたり、新しい観点からのサービスを提供できると、新しいエンタメの形になると思います」

森さん(司会)「モビリティのサービスがさらに付加価値をつけてくれるということですね。サンポさん、今のお話を聞いて、どのように感じられましたか」

サンポさん「楽しいという要素を語っていただいて、よかったと思います。モビリティには2つの要素があって、効率性、これはあまり楽しくはない世界だと思います。もう一つは個人、個性ということです。これをきちんと包含できないと、問題は解決できません。

 末廣さんがおっしゃったように、モビリティに関係のない業界はないと思います。例えば、フィンランドは日本と同じように高齢社会です。最近の統計を見ますと、高齢者が1年以上老人ホームに入ることなく一人で自宅で過ごすことができれば、約2000万円費用を削減できるという結果が出ています。

運転免許を返納した後も、モビリティサービスの利便性が高ければ、老人ホームに入らなくてもいいわけです。そうすると、社会福祉という観点からもプラスになります」

効率性だけを追求してはいけない

森さん(司会)「これだけの可能性があるということは期待が高まりますね。それでは最後のテーマに移りたいと思います。これから、柏の葉で実現したいエンパワーライフなアイデアはありますか。では、今度は杉原さんから」

杉原さん「柏の葉というのはとても貴重な場所で、いろいろなことを地域の住民の方と取り組んでいけます。自分が移動したいと思ったときにはスムーズに移動でき、何かサービスを利用したいと思ったときには、それが自分の方にやってくるということを、できるだけ早く柏の葉の中で実現できればと思います」

森さん(司会)「末廣さん、柏の葉で実現したい、エンパワーライフなアイデアは何では何でしょう」

末廣さん「柏の葉はモビリティ事業者にとってテストがやりやすい場だと思っています。コンパクトな街で、いろいろな年齢層の人がいて、大学があって、ららぽーとがあって、柏市役所も近くにあって、三井不動産もいらっしゃる。新しいモビリティを日本で初めて先行してやれる場所だと思います。ここに新しいモビリティサービスを導入するのが、実現したいことです」

森さん(司会)「サンポさんにもお二人のアイデアを聞いていただきましたが、どんな感想を持ちましたか」

サンポさん「私が今回学んだのは、大きな夢を持つことができるということです。私の夢は、柏の葉が世界のショーケースとなり、スマートシティの現実はこうだと見せたいということです。全ての要素が全部連携して、柏の葉で実現されれば、ここが未来の窓であると人々の目に映るでしょう。

 もう一つ加えたいのですが、私にとってもスマートシティというのは、全てのことを楽しませてくれる場所、自分がスマートでなくてもいい、賢く考えなくてもいい場所だということです。モビリティであれば、何も考えないでスマートシティに全部身を任せてやってほしい、そういった都市がスマートシティではないかと思います」

森さん(司会)「これからどんどんディスカッションと、トライアルを繰り返していって、ここが本当の意味での先進のスマートシティになっていくのかなという感想を抱きました。60分間お話をしてきましたが、今日の感想を一言お願いします」

末廣さん「サンポさんの素晴らしいお話を聞けて、われわれとしても一緒にやりたいし、新しいことをやっていきたい。トライ&エラーが大事で、スマートシティの未来が見えると感じています」

杉原さん「掲げている未来、課題の解決を、柏の葉で実現したいと思いました。これだけ素晴らしい環境があるので、早くやらなければという使命感が増した機会でした」

森さん(司会)「サンポさんにも一言、このトークセッションの感想をお聞きしたいと思います」

サンポさん「本当に皆さんに感謝したいと思います。特に楽しかったのは、楽しみ、自由、幸福度というのは、人々に選択肢があるからこそ、という話でした。やはり単に効率性ということだけを追求してはいけないと思います。もちろん、効率性は重要ですが、もっと重要なのは楽しいかどうかということです」

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