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「EMPOWER FUTURE.」は、
次世代への本当に大きなメッセージになる
自己組織化物質の研究で、超分子化学に多大な貢献をしている藤田誠さんと、柏の葉のアーバンデザインを先導する出口敦さんにご登壇いただいたクロージングトーク。柏の葉の街づくりの未来について、自己組織化というキーワードを中心に、トークイベントの締めくくりにふさわしい、示唆に富んだ議論をしていただきました。
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻 卓越教授 / 自然科学研究機構 分子科学研究所 卓越教授 / 千葉大学 特別栄誉教授
藤田誠
1982年千葉大学大学院工学研究科修士課程修了。1987年東京工業大学工学博士。分子科学研究所錯体化学実験施設 助教授、名古屋大学大学院工学研究科 教授を経て2002年東京大学大学院工学系研究科 教授。2018年より分子科学研究所特別研究部門 卓越教授(兼任)。2018年より千葉大学 特別栄誉教授(称号)。2019年より東京大学 卓越教授(称号)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 副研究科長・教授/柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)センター長
出口敦
1990年東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)、九州大学教授などを経て、2011年4月より現職。UDCKセンター長を務める。専門は都市計画学、都市設計学。アーバンデザイナーとしても国内外で活躍。
卓越教授としての研究が、柏の葉の街づくりにぴったり合った
『Kashiwanoha Innovation Fes 2020』の一連のトークイベントの最後を飾るCLOSING TALKには、2人の研究者が登壇しました。一人は、分子の機能的な集合体を自発的に生成する「自己組織化」研究の超分子化学への貢献により、ノーベル化学賞受賞の有力候補として注目されている、東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻 卓越教授の藤田誠さん。もう一人は、UDCKのセンター長を務め、柏の葉スマートシティでSociety5.0時代の新しい都市づくりに取り組んでいる東京大学大学院新領域創成科学研究科 副研究科長・教授の出口敦さん。医療ジャーナリスト/キャスターの森まどかさんの司会で、「EMPOWER FUTURE.」をテーマに、スマートシティの未来について語り合いました。
クロージングトークはまず、お二人の研究内容やお仕事についての自己紹介から始まりました。口火を切ったのは藤田さんです。
藤田さん「今から2年後の2023年に本来なら定年退職ですが、いったんは退職しましたということで、卓越教授が称号から職名に変わります。その後10年間、東大から研究環境を保障してもらえる。そういう大変ありがたいポジションを頂くことができました。現在は文京区の本郷キャンパスの工学部3号館にいますが、ここを出て、新しい建物を探さなくてはいけません。紆余曲折を経て、柏の葉に新しい拠点を構えることになりました。
東京大学と三井不動産の間で、既に産学協創の協定が結ばれています。その中から、私共の研究が、まさに健康長寿あるいは新産業創造につながるような、そういうテーマであったということで、要するに私の卓越教授としての研究活動が、ちょうどこの柏の葉の街づくりにぴったり合うというところで、リンクラボに研究拠点を構えませんかという大変ありがたいお話を、三井不動産から頂くことができました。
研究テーマとしては、自己組織化、超分子化学、分子構造解析、という専門用語が並んでいますが、この後、少し説明する機会があるかと思います」
出口さん「専門は都市工学ですが、その中でも都市計画学、都市デザインを専門にしています。現在、この柏の葉の街づくりのセンターとして、柏の葉アーバンデザインセンター、通常、UDCKと言っていますが、そちらのセンター長を務めています。
それから、UDCKをモデルとして、全国に今、さまざまなアーバンデザインセンターが増えてきているのですが、その中でも柏市の2番目のUDCであるUDC2と、東京の高島平にある団地を中心とした地域の再生や活性化を対象としたアーバンデザインセンターのセンター長を務めているうちに、全国に増えているUDCのネットワークをつくっていく、あるいはこれからUDCを増やしていくお手伝いをしようということで、UDCイニシアチブという社団法人を仲間と作りまして、そちらの代表理事を務めています」